無教会キリスト教Blog~神なき者のための神、教会なき者のための教会~

無教会主義というのは教会不要論ではなく、建物なき教会、壁なき教会、儀式なき教会、聖職者なき教会です。内村鑑三によって提唱されました。それはイエス・キリストを信じ、従うという心のみによって成り立つ集まりです。 無教会主義は新約聖書のパウロによる「恵みのみ、信仰のみ」を徹底させたもの、ルターによる「万人祭司」を徹底させたもの。無教会主義の立場から、宗教としてはおさまりきらないキリスト教の社会的可能性、政治的可能性、 哲学的可能性を考えます。

2023-01-01から1年間の記事一覧

愛について〜上昇するエロース〜

キリスト教では、「愛」の概念について大きくふたつに大別されると思います。 人間的な欲望としての自己愛の「エロース」と、神の愛としての無償の贈与の「アガペー」。 日本で「エロース」というと、もっぱら性的な意味で扱われがちですが、本来の意味はも…

日本は多神教だから寛容?

日本の宗教観では、「すごい」ものや「すごい」人は皆「カミ」になります。 菅原道真から織田信長、豊臣秀吉、徳川家康も「カミ」になり、漫画の神様、野球の神様、果ては「トイレの神様」に至るまで、人間の生活や社会に大きな影響を及ぼした存在は皆「カミ…

神のリベラル(自由)〜聖書による聖書原理主義批判〜

キリスト教会には、聖書に書かれている言葉の一字一句が神による霊感によって書かれたとして、その言葉の誤りなき無謬性を信じるグループがあります。彼らは、自分たちが聖書全体を通して啓示された神の言葉(福音)に忠実であることを表現して、彼ら自身を…

補説:精神障害、発達障害などの「障害」について〜「異常」なのは人間なのか?社会なのか?〜

以前、「精神障害、発達障害などの障害について」というブログを書きました。 koji-oshima.hatenablog.com 昨今、発達障害を含めた様々な「障害」についての報告を頻繁に耳にします。素朴な印象として、このように思うはずです、「発達障害というものを持つ…

ヒロシマ・ナガサキの原爆被害とキリシタン迫害

「ヒロシマ・ナガサキに落とされた原子爆弾は、戦争を早期終了させるための正しい選択だった。戦争が長引けばもっと多くの被害がでていた」という説を支持する人は、日本人のなかには、おそらくほとんどいないでしょう。 今でも戦勝国であるアメリカでは、数…

キリスト教と科学1

「Nature」というイギリスの科学雑誌があります。Nature(ネイチャー)とは日本語で自然という意味ですが、日本で「自然」というタイトルがつくような雑誌はどのようなイメージでしょうか? 科学雑誌というよりも、風光明媚な自然の美しさを紹介する美術雑誌…

牧師不要論(万人牧仕論)

最近、牧師や神父などの教会の聖職者・教職者のスキャンダルを頻繁に耳にするようになりました。 これは、そのような聖職者・教職者によるスキャンダルが最近になって増えた、ということなのでしょうか? 最近の聖職・教職に就く人間の質の低下がいちじるし…

召命(calling)〜貧困、幸福、そして人生の意味について〜

社会学者のエミール・デュルケムの著作に「自殺論」という本があります。 自殺というのは、社会の衰退期に増えるというのは常識ですが、実際は社会の上昇期にも増える。デュルケムは、この際の自殺を「アノミー型自殺」と呼びました。「アノミー」というのは…